日本共産党県議団を代表して、質問を行います。
まず、消費税増税問題についてです。
異常な金融緩和によって株価は上がりましたが、庶民への恩恵はなく、円安による燃料、原材料、生活必需品の値上がりが、家計と中小企業を苦しめています。何よりも働く人の賃金は、18カ月連続で減少を続け、ピーク時に比べて70万円も減っています。
このような経済情勢のもとで、消費税増税で8兆円、社会保障の負担増・給付減をあわせれば10兆円という史上空前の負担増を強行しようとしています。
全国中小企業団体中央会が1月に発表した景況調査では、多くの中小企業から、「現状でも、原材料高、燃料高を販売価格に転嫁できない」との訴えがされています。「増税されたら、もうやっていけない。倒産せざるを得ない」こうした声が私たちの所にもたくさん寄せられています。
結局、消費税大増税の目的は、「財政再建のため」でも、「社会保障のため」でもない。消費税増税で吸い上げた税金を、大企業減税と巨大開発、軍拡予算に流し込むものとなっています。
私ども日本共産党は、庶民と中小企業を苦しめる消費税増税は、今からでも中止すべきだと強く求めています。
知事は、昨年のわが党議員の質問に対して、増税は必要と述べられた上で、生活必需品を非課税にするなどの軽減税率の適用、消費税の転嫁や価格表示に関する中小事業者への配慮、暮らしの安心を実感できる社会保障の制度設計、徹底した行財政改革への努力などを、国に対し、しっかりと求めていくと答弁されました。しかし、その願いは、全く解決されていません。
知事は、提案説明で、景気回復が地方においては、まだその実感が十分とは言えず、4月に迫った消費税引き上げによる影響が懸念されていると表明されました。県内経済は、依然として低迷し、県民の不安はさらに広がっています。そこでお尋ねします。
消費税増税で、県内経済にどの様な影響があると予想されているか、消費税増税について、知事のご所見をお尋ねします。
働く人の賃金の低下と労働条件の悪化に歯止めがかかりません。昨年の勤労者の平均賃金は、1990年以降で最低となり、ピーク時の1997年より年収で約70万円も減っています。
この10年余の間に、平均でも月給の2カ月分程度の収入がなくなったのですから、ローンや教育費をはじめ、労働者とその家族の暮らしの悪化は深刻で、賃上げと安定した雇用への願いは、いよいよ切実です。
昨年7月の総務省の就業構造 基本調査によると、非正規雇用者数は初めて、2000万人を突破して、2043万人、労働者の3人に1人、若者と女性では2人に1人にまで広がり、年収200万円にも満たない労働者が1000万人を超えています。
総務省の平成24年4月1日の自治体における調査結果で、非正規職員数は、全国で60万3000人にのぼり、4年前の前回調査から10万5000人も増えています。同時期に正規職員が13万1000人減少していることから、大量の正規職員が、非正規に置き換えられている実態が浮き彫りになりました。
平成24年度版 労働経済白書は「非正規雇用者比率の上昇が、賃金の減少の最大の要因となってきた」とし、安倍首相も国会で「(非正規雇用の)労働条件は、正規より悪いわけで改善しなければならない」と答弁しています。
しかし、やっていることは、正規労働者の首を切りやすくする「限定正社員制度」であり、残業代をゼロにするホワイトカラーエグゼンプションであり、「生涯派遣」にしてしまう労働者派遣法の大改悪で、非正規労働者を一層拡大する政策です。
徳島でも、若年者の非正規率が、33.1%つまり3人のうち1人は非正規となり、無年金、低年金そして未婚率の高まり、深刻な少子化の一因になっています。
派遣法の抜本改正をはじめ、非正規雇用への不当な差別や格差をなくし、均等待遇をはかるとともに、非正規から正規雇用への流れをつくることは、「賃下げ」社会を克服するうえで不可欠です。
そこで、
非正規労働者が急増している現状を、どのように認識されているのかまた、安定した雇用の確保について、県として、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
◆建設労働者の低賃金と劣悪な労働条件の改善について
次に、建設労働者の低賃金と、劣悪な労働条件の改善について伺います。
県内の建設業は、社会資本の整備と維持管理の担い手であるとともに、大規模災害発生時には、応急復旧活動の実施をはじめ、県民の安全・安心を確保する重要な役割を担っています。さらには、地域の雇用や経済を支える基幹産業でもあります。
しかし、この間、公共事業の縮小や住宅建設など、民間工事の低迷で、若年入職者の減少、高齢化の進行で、建設業界における人手不足が、全国的に深刻な課題になっています。
この影響で、とりわけ東日本大震災の復興公共事業にも支障が出て、その遅れが指摘されていますが、程度の差はあれ、徳島県でも人手不足の影響が、深刻化していくことが懸念されています。
こうした中、国交省は、公共工事の労務単価を、昨年4月に15.1%引き上げたのに続き、今年、2月にも全国平均で7.1%引き上げるとしています。
これは、昨年引き上げたものの、「その後に技能労働者の賃金動向をきめ細かく調査した結果、労務単価と実際の賃金にかい離が生じていた」として、引き上げが、賃金に反映していないことを認め、今回の再引き上げを決めたとしています。
県も、建設企業の体力を回復するためとして、設計労務単価を昨年4月に平均14.1%、今回平均6.3%引き上げを行いました。
しかし、現場の労働者からは、「労務単価が上げられたというが、実際の賃金はあがっていない。」との声が寄せられています。
厚生労働省によると、建設業の労働者、男性の平成23年度 年収額は、平均402万円で、全産業に比べて69万円低くなっています。
徳島県の,10人以上の建設業で働く男性の場合をみると、平均で420万円であるものの、若年層では、19歳までが、193万8千円で、全国平均の82.7%、20歳〜24歳で244万4千円、全国平均の74.6%、と低くなっており、若年層の低賃金が、担い手不足の一要因になっているといわれます。また、現場で働く労働者で社会保険に加入しているのは一部で、国民年金、国保の加入者が多いのが実態です。
建設労働者の賃金・労働条件改善のために「新単価をふまえた賃金水準の確保」「適切な価格による下請け契約の締結」や労働条件の改善が求められます。
そこでお尋ねします。
県は、公共事業の発注者として、現場で実際に支払われている賃金や社会保険への加入の実態を調査し、問題があれば、必要な改善を求めるようにするべきではありませんか。
また、要請だけでは、確実に賃上げが実現する保証が、残念ながらありません。労務単価の引き上げを確実に労働者の賃上げにつなげる仕組みとして、最初に、現場で働く下請けの職人、技能労働者の適正な賃金の額を取り決め、その取り決められた賃金が支払われるよう、元請け業者などに法令で義務付ける制度が必要です。
下請けの職人、労働者の賃金水準が先に確保されるならば、「中抜き」の状態化を可能にしている建設業界の重層的下請け構造も形成が困難になります。
そこで、場で働く下請け労働者の適正賃金を決めて、元請け業者に支払いを義務付ける公契約条例を県として制定することを求めます。ご答弁ください。
◆消費税増税問題に関する再質問
住宅リフォーム助成制度について
質問を続けます。消費税増税問題では、景気の腰折れを食い止めるため、「地域商品券の発行」や「中小企業振興資金」の拡充などを図ると答弁されました。
それらの施策は、一定の効果は期待されると思いますが、地域商品券は、4月から8月までの5ヶ月間の期間限定です。また、「中小企業振興資金」を拡充するとはいえ、利子付きの貸付金です。返還しなければなりません。
県が打ち出した対策だけで、県民のくらしは良くなるでしょうか。
初問でお尋ねしましたが、正規雇用を増やして、賃金を上げること、さらに、地元業者の仕事を増やし、所得を増やす対策を行うことこそ行政がやるべきだと思います。
全国の地方自治体に広がり、経済効果抜群と試されずみの住宅リフォーム助成制度は、2014年度、国でも予算化されました。国の制度は、「住宅の長寿命化に資する先導的なリフォームの取り組みを支援する」とされていますが、やっと国も実施に乗り出したわけで、徳島県でも取り組むべきと思います。
秋田県では、リーマンショック対策として、平成22年度から住宅リフォーム推進事業に取り組んでいます。今年は、「住宅リフォーム緊急支援事業」と耐震化、バリアフリーなどの「安全安心リフォーム推進事業」を合わせて、予算額13億9000万円、予定件数11000件、補助対象工事の10%、上限15万円から20万円の補助事業を進めています。
この1月末で、予定を遙かに超え、11535件受付、執行率が96,5%。今も次々申し込みがされているそうで、業者にも県民にも大変喜ばれています。耐震対策と共に、仕事、雇用を増やす対策として、秋田県のような取り組みを徳島県でもすべきだと考えます。そこで、
県が取り組む、「まったなし!住まい・たてもの耐震化」事業に住宅リフォームも拡大し、仕事を増やす対策を実施するべきではありませんか。お尋ねします。
◆鉄道高架事業は中止を
次に、防災・減災対策の一つとして、進めようとしている事業の内、まず、鉄道高架事業は中止すべきという立場で、伺います。
県は、徳島市内鉄道高架・沿線整備促進協議会を今年2月7日に開催し、分割案を示し、1期区間を先行して行うとしています。
先行して行う理由として、津波避難場所をつくる必要性などをあげています。後からつけた理由に過ぎないと思います。避難場所というなら、富田駅や二軒屋駅近くには高いビルがたくさんあります。すでに、避難ビルに指定されているビルもあります。本当に防災対策というなら、住民の望む避難場所を確保することが重要です。
「防災・減災のため」として、大手ゼネコン向けの大型公共事業では、地域の建設業は再生できません。鉄道高架事業は、佐古高架でも明らかなように県外の大手ゼネコンの仕事です。
新年度に、都市計画決定をしようとしていますが、文化の森駅から車両基地までの計画や3者合意で決まったといいながら、車両基地の位置は、全く公表していません。
鉄道高架事業を行うのに欠かせない、最も大事なことの一つ、車両基地をどこにするか隠したままで、都市計画決定が許されるでしょうか。
車両基地に決まったという徳島市南部地域は、大雨が降ると浸水が起きているところです。現在2,7haの車両基地、コンパクト化を図るといってもそれ相当の面積が必要です。多々羅川の改修が進んでいない現状で、広い田畑を埋め立て、車両基地を作れば、浸水がますますひどくなるのは明らかです。防災・減災に逆行する事業です。
また、車両基地には、回送列車が出入りし、JR四国が県に提出した「報告書」には、現在1日65本、1時間に1本または2、3本しか通らない列車本数が、110本から155本になる」と示されています。
文化の森駅から車両基地までの間には、農作業のための小さい道路も含めると、10カ所あまり踏切があり、遮断時間が現在の1,7倍から2,4倍にもなり、交通渋滞が起こることが懸念されます。
田園風景が広がる、大変静かな地域は一変します。朝は、始発列車のために早朝から、夜は最終列車の車庫入れなどで深夜まで、大きな音を立てることになります。
地域の方々は、こうしたさまざまな理由から反対の声を挙げているのです。 県は、2期区間の都市計画決定の前には、住民に知らせると言いますが、それでは遅いのです。住民のみなさんの声をしっかり反映してこそ、民主主義が活かされることになります。
そこで、知事にお尋ねします。
文化の森駅から車両基地までの計画、車両基地の位置を公表し、住民の声をしっかり聞くべきではありませんか。ご答弁ください。
次に、「防災・減災のため」の2つ目、四国横断道の吉野川渡河橋について伺います。
もうすぐ3年になる3,11東日本大震災の教訓をうけて、国では、「今後の海岸管理のあり方について」検討委員会が開催され、今年1月26日にとりまとめが出されました。
その冒頭に「海岸は、国土狭隘な我が国にあって、その背後に多くの人口・資産が集中している空間である。また、海と陸が接し、多様な生物が相互に関係しながら生息・生育している貴重な空間である。このような特性を持つ海岸において、安全で活力ある地域社会を実現し、環境意識の高まりや心の豊かさへの要求にも対応する海岸づくりが求められている」と書いています。県も「海岸保全計画」をまとめられました。
国は、通常国会で海岸法の一部を改正し、南海トラフ地震や東日本大震災の復興・復旧にも早急に対応できるようにしたいと述べています。
津波や液状化が心配される地域では、都市全体を陸側に引く必要がでています。各地の河口都市では、時計の針を巻き戻せるなら、都市計画をやり直して、海に出すぎない地域づくりをすべきだったとの反省もすでに出ているそうです。
復旧・復興に向けて取り組みを進めている岩手県では、原位置で復旧した場合、山付き地形を活用し、引堤した場合を比べ、引堤した場合、砂浜や地形に応じた生態系の復元の余地が生まれると共に、将来の気候変動への適応、柔軟な海岸保全への対応の余地が生まれると書いています。
こうした国の方向や各地の取り組みから見て、大地震や津波、液状化などが想定される吉野川最河口部に、渡河橋を作ることは問題ではないでしょうか。
また、国のとりまとめや県の保全計画にも環境や心の豊かさにも配慮した取り組みの必要性が詠われています。
吉野川河口干潟は、環境省の「日本の重要湿地500」に選定され、また「東アジア・オーストラリア地域フライウエイ重要生息地ネットワーク」にも登録され、国際的に重要な湿地をして認識されています。
さらに、河口から第十堰までの汽水域は、その豊かな環境を人々は、さまざまな生業やふれあいを通して、懸命に利用し続けていて、ラムサール条約に登録されるにふさわしいところです。平成22年には、ラムサール条約湿地としての国際基準を満たすと認められる候補地に選定されています。
平成24年4月に、吉野川河口1,8km上流地点に阿波しらさぎ大橋が供用されました。県は、建設に合わせて、鳥類の出現数の観測をされています。しらさぎ大橋の上流、下流にある干潟の4エリアに分けて観測され、その個体数が明らかになっていますが、シギ・チドリについては、しらさぎ大橋上流部にある住吉干潟での出減数が激減しています。
野鳥観測をされている方々から、「他の野鳥は今までと同じように見かけるが、シギ・チドリは、しらさぎ大橋の下流にある干潟では見られるが、上流の住吉干潟では、本当に見られなくなった。大きなしらさぎ大橋を越えることができない、行き交う自動車などにも影響されているのではないか」といわれます。
こうした結果から、最河口部に高速道路渡河橋ができれば、シギ・チドリなどの鳥類に大きな影響がでるのは、明らかではないでしょうか。
日本の海岸線がどんどん開発され、干潟や湿地が減っている中で、吉野川河口干潟は、本当に貴重な存在となっています。その国際的にも認められている干潟を守ることが行政の役割ではないでしょうか。
東日本大震災が起こり、国や全国各地で、見直しがされているときに、徳島県では、22年前に決定された基本計画のまま、事業が進められています。造ってしまうと取り返しがつきません。そこで、
防災面でも環境面でも問題がある、吉野川最河口部に、四国横断道の吉野川渡河橋を建設することは、見直しすべきではありませんか。お尋ねします。
◆高等学校就学支援金制度について
倍政権は、自ら掲げる「教育再生」を一気に進めようとしています。最大のねらいは、従来の一線を越えて教育を右傾化させることです。
道徳の時間を教科化する。憲法9条を変えて、「戦争をする国」をつくる、そのための「愛国心」教育をすすめる。派遣労働を無期限にするなど貧困と格差を広げる、それにふさわしい格差的な教育体系をつくる。教育委員会「改革」を「教育再生」の重要課題として位置づけ、政治権力が教育を支配する制度をつくるなど「戦争する国」を支える教育をつくろうとしています。
その流れの中で進めているのが、高等学校等 授業料無償化に所得制限を導入したことです。
就学支援金が受けられるのは、全校生の内8割と見込まれていますが、生徒や保護者には、申請書と保護者の課税証明書の提出を求め、新入生には、4月と7月、2回も提出を求めます。
学校側には、提出した生徒の情報をすべて入力する膨大な事務量の増加、そして、県教育委員会には、各学校からすべての個人情報を集め、審査・認定作業に当たるという、本来の教育とは全く違う新たな仕事を押しつけるものです。 そして、何よりも子供たちには、格差を持ち込むものです。教育はすべての子供たちに平等であるべきです。
学費無償化をめざすことは、国際人権社会権規約で明記され、圧倒的多数の国々の「ルール」になっています。そのため、各国が学費無償化に向けて努力しています。OECD加盟国では、半分の国が大学まで授業料を無償化しています。
日本政府は、高校・大学までの段階的な無償化を定めた 国際人権 社会権規約の第13条2項(b)(c)の適用を留保してきた問題で、留保撤回を閣議決定し、2012年9月に、国連に通告しました。2012年8月現在、締約国160カ国の内、日本とマダガスカルのみが留保していたのですが、やっと、日本が世界の仲間入りをしたのです。2001年に、国連社会権規約委員会から、留保の撤回を検討する勧告を受けていたものです。
撤回を通告したということは、国際的に公約したものです。
そこで伺います。
国に対して、国際公約に反する所得制限導入は、やめるよう求めていくべきではないでしょうか。